ご挨拶
二条 空也です。このたびは『茨と夜の副読本 的な 設定資料集 のような トーク本』を手に取って頂き、ありがとうございました。無料配布なのですが、タイトルの性質上、だいたいお話を読んだ方向けの内容となっておりますのでご注意ください。お話のネタバレというか語りたかったこととか、とりとめもなく、タイバニに全く関係ないことまで書いてある予定です。春コミは本来であれば新刊を出す予定だったのですが、年明けから体調不良で身内と私がいっしょくたにぐったりしていた関係で、5月のスパコミに延期になりました。現在、52ページまで書き終わっているので、締め切りには余裕を持って(夜と比較した場合の余裕ではあるんですが)執筆できているし、間に合うかな、とぼんやり考えています。間に合わせるんですけれど!
さて、この項目一応ご挨拶なので。これくらいにしておきます。この本の注意事項なのですが、全然全く小説載ってないってことだけご了承ください。ただ私がトークしてるだけの本です。昔の同人誌にはなんかトークのページとかあとがきとかいっぱいあった気がするんですけれど、最近は本文だけの本が多くて寂しい&自分で本出す時もページ数の限界までみっちり書くのと、締めきりに追われ過ぎていて語る所の話ではないので、短いあとがきくらいしか乗せられないのでついカッとなってやりました。
茨の道であろうとも
一冊目の本のタイトルで、一作目のお話のタイトルです。このひとつめの話を書きあげられたのは、一回くじけた時にお友達に『すごく好き』って言ってもらえて、その嬉しさがラストまで導いてくれました。自分の中ですごく書きたい気持ちがあったのだけれど、同時に、タイバニの二次創作において『アンチヒーロー』っていう存在はあまり受け止められないんじゃないかなぁ、という不安があって。その不安に負けて途中中断してしまっていたのと、純粋に、読んで楽しいものが書けているのか分からなくなってしまったんですね……。結果として書きあげることができて、ピクシブに掲載した時は三分割してアップしたのですが、デイリーで一位頂いたりして、あの時は嬉しくてちょっと泣きました(笑) でも未だになんでそんなに読んで頂けたのかとか分からないんですが……なにか、たくさんのひとに面白いって思ってもらえるものがあったのかなぁ。だったらすごく、嬉しいです。
この話を書く時に、書きたかったのは三点。アンチヒーローという存在と、一般人を庇うカリーナちゃんと、上空からまっさかさまに落下して凍らせた水の上に着氷し、決め台詞を言うカリーナちゃんです。その三点を書く為に書いたと言っても過言ではないのですが、ここからエドワードと楓ちゃんのバディが始まったのかと思うと自分で感慨深いものを感じます……(笑)
エドと楓ちゃん
なんでこの二人がバディを組んだのか、については茨の作中に書いてあることが全部なんですが、そもそも、楓ちゃんがヒーローにはならない、という公式の記事……? 新聞からの抜粋かなにかを目にしたのが、楓ちゃんはじゃあサポーターで! という立ち位置に行きつくきっかけだったと思います。元々、設定に関して考えたりするのが好きなのですが、楓ちゃんの場合はコピー能力ってどういうことなんだろう? から考えて行きました。バディのハンドレットパワーと違って、コピーは他から映し取って来る訳だから、自分の能力の基盤、というものがほぼ存在しないに近いと思うんですよね。能力の発動=コピーであり、能力の発動=コピーした能力の発動になる訳ですから、恐らくアカデミーで生徒たちが必死になって制御とか使い方を勉強しているであろうそれを、楓ちゃんはまったくなにも知らずに発動してしまう訳です。性質も、使い方も、なにも分からない能力を無差別に発動してしまう。それってすごく怖いんじゃないかなぁ、と。自分でしっかり立つ足元がない能力だと思ったので、作中の描写を見てもいまいちコピーした能力を制御できていないようなこともあって、制御する為にアカデミーに入学したはいいものの……という流れになりました。エドワードが出てきたのも、その経緯があってのことです。
エドワードってすごく良い見本だと思うんですよね。アカデミーの生徒で、ヒーローを志す正義感があって、それでいて道を違えた犯罪者。間違えるとこうなるぞ、という生き見本を、間違えると、下手すると災害レベルの能力を発動させかねない楓ちゃんの傍に置く。それでいて、エドの能力はよしんば制御が利かなくなったとしても、他人に対する被害がものすごく少ない。これはもう、エドしかいないだろう、と。そういうことで結成されたエドワード・ケディ&楓ちゃんのヒーローサポーターバディなのでした。
迷い道、その先の光に
エドの苗字がケディだと知った勢いで出来あがったような話なのですが、私の話って基本的になにかの勢いで八割方構成されているのでそんなものだと思います。ストーリーラインと読み味が、ものすごく私らしい話だなぁ、と自分では思っています。バディの話、エドワード編でもあります。エドから見た、楓ちゃんとのバディの話。エドと楓ちゃんはすごく手を繋ぎたがるので、気が付くと二人はすぐ手を繋いでいるのですが、この話でもすごく手を繋いでるんですよね……。手を繋ぐっていう行為が自分ですごく好きだっていうのもあるのですが、でもこの話の時点では、まだ二人とも『繋ごう』として繋いでる感じがしています。そんなつもりがなくても、気が付いたら手を繋いで二人で歩いていたような、そんな関係性になって行けばいいなぁ……。公式でエドと楓ちゃんが会話をしようものならすごい勢いで爆発しそうな気がします。え、映画とかで会話、しないですかね……! ちなみにタイトルはフィーリングで感じ取る系が殆どなので深い意味がないことが大半ですが、今回も『つまりエドの光が楓ちゃんなんだよ!』という感じのものでした。
けれども彼らはこともなく
こういう、全力で頭がわるい話を時々書きたくなります。5月の本でも頭がわるい書き下ろしの話を、書きました。ヒーローにプリンブームが起きたりする話。これは通りすがりの爆弾魔と、あと三人それぞれが個人的な事情で、正義の味方なのに警察から全力で逃げようとする話が書きたくてこうなりました。アカデミー組は、三人で放置しておくと本当にバカデミーになっちゃいますね……! このひとたち(たぶん)全員主席とか、それくらいに頭がものすごく良いイメージがあるんですが、三人にしておくと全力で真面目におばかになる気がしています。バカデミーを密室に閉じ込めてずっと監視とかしていたい……! 暇になってしりとりとか組み手とか柔軟とかして、一向に脱出しそうにないのを首を傾げながら眺めていたいです。よっぽどの用事がなければ、三人集まってるんだしなんとかなるだろ、くらいで助けを待ちそうなイメージがあります。でもイワン:やっぱりキースさんとデートの予定がある。エド:楓が心配しそうだから嫌だ。バニーちゃん:夕食の買い物を頼まれているんですよね! という感じで、やっぱり全力で即行で脱出しそうな気がしてきました。三人戦闘とかすごく見てみたいです。
初代。ヒーローから
茨の道であろうとも、をちゃんと書き終えることができなかったら、この話も書かなかっただろうなぁ、というタイプのストーリーです。自分では書きたいことは全部書き切ってすごく満足しているし、お気に入りではあるんですが、内容がアレだからなのか純粋に面白くなかったのか、いまいち反応が頂けなくってしょんぼりしたお話でもあります。まあでも、基本的に反応とか頂けないのがデフォなのでいいんですけどね三日間くらいしょんぼりしました。これは、一次創作の友人からキャラクターの名前とデザインだけ借りてきたお話でもあります。初代の名前やイメージは、最初は自分の一次創作からひっぱってこようと思っていたのですが、自分のだとイメージが固定されすぎていて逆に難しかったんですね。なのでお借りしました。ある意味、すごく貴重な経験ができたと思っています。この話で一番書きたかったのは、ラストの歌によってよみがえって行く都市、です。じつのところ、ブルーローズちゃんが歌うアイドルという設定を知ってから『こういう展開ありますか! 公式でありますかっ?』と期待していたのですが全くなかったので、しょうがないので自分で書きました……。違うアニメになっちゃうけど、もっと歌ってくれてもよかったのよ……(笑) 彼女が歌うシーンも、また別に書いてみたいです。
途中のシレーネの過去語りについては、物語上絶対外せないシーンなので書くしかなかったのですが、二次創作のオリジナルキャラクターという性質上、書き方をどうするかすごく悩みました。結果的に、彼女の話を聞いているヒーローと同じ気持ちで物語を追いかけることができればいいな、と思って一人称というか一人語りになったのですが、どうだったでしょうか……? 昔から一人称を書くのがどへたくそなので、満足行く書きあがりにはなったものの、意図したとおりにできていたかな、と未だにちょっぴり不安な箇所だったりします。
茨の本の表紙について
ひたべえさまに描いて頂きました。表紙について悩んでいた所、描きますよ、と声をかけてくださった女神のような方です。ありがとうございます……! 嬉しいことに5月の本も描いて頂く予定です。本文にもよりいっそう気合いを入れようと思います。それで、茨の本の表紙についてなのですが。あえて同人誌の表紙っぽくなく(人物のバストアップではなく) 内容をイメージした挿絵みたいな感じでお願いします、と依頼させて頂きました。ブルーローズちゃんの脚が魅力的過ぎたので脚のでおねがいします! ってラフの時点で勢いごんで何度か言ってしまいました。じつはもうすこしブルーローズちゃんの全身が入る構図もあったのですが、脚が、この脚が……! 表紙で脚なのでインパクトとしてはあんまりないことを承知の上で、お願いして描いて頂きました。なのでぜひともご堪能ください。脚。女子高生の脚! やだなんか変態みたいな気がしてきましたどうすればいいの……。
裏表紙の、氷の上に立つ足元。下に広がっている氷の薔薇を見た瞬間、私のイメージしたものが想像以上の美しさで描いて頂けたことが分かりました。なのでしおりも、表紙ではなく裏表紙の絵を使って制作しました。しましたというか、してもらいました(笑) 絵を加工するなり、使うなりして良いという許可は頂いていたので、お友達のとここさんにしおりのデザインをして頂きました。他の本のしおりについてもやってもらってます(笑) そろそろ彼女の家の方角に脚を向けて寝るの止めた方がいいんじゃないかな、くらいお世話になっているのです。彼女が居なければ間に合わなかった締めきりがいくつあるのかは、怖いので考えないことにしました。
夜のように光のように、輝きたまえ連ねきたまえ
長いの! 長いのが書きたい! 原稿用紙でいうと500枚くらいの! 連作とかじゃなくてストーリーでがっちり繋がってる長編! という気持ちで始まった物語が、書き終わると原稿用紙630枚になってたことについては私以外は予想がついていたそうです……。だいたい、いつも、目標とする枚数より多くはみ出すんですよね。そろそろ予測ぴったりくらいで書けるようになりたいです。締めきりに余裕を持って間に合わせる為にも……! これについては、夜の場合、ちょっとした事故で冬コミの当落が分からなかった&落ちてると思いこんでたので準備を全くしていなかったせいもあるのですが、二十九日で書きあげることになったので大変でした……。仕事と原稿しかしてなかった日々でした。もうこの期間でこの枚数の原稿はしない、とかたく心に誓いました。もうしない。
空折というカップリングが好きになってから、どうしても書きたい話ではあったので、時間のなさを言い訳にして満足できないものにしたくなくて、本当にせいいっぱい頑張って書いた話でした。数年来のファンだった方が表紙を描いてくださるというので、なおのこと頑張れた気がします。イワンくんがなんで見切れヒーローなのかな、という所から色々もやもや考えて行った記憶があります。だからこのお話は空折なんですが、空折の話というよりは、イワンくんが主役のイワンくんの物語で、ヘリペリデスファイナンスの物語だと思っています。ストーリーとして悩んだのは、冒頭から原作のキャラクターがしばらくでないという点でした……。もうそう書くって決めちゃったから書くしかないんだけど、でもこれが原因で読まれなかったらどうしよう、とか。考えてしまうものです。でもどうしても、イワン。カレリンという存在が、この物語においてはどういう仮定でどういう意思でヒーローになって行ったのか、の為に必要な『序』だったので、腹をくくって書きあげました。
茨からじみに皆勤賞のキリサトさんがすごく動き回った話でもあります。彼女に関してはすごく嬉しいことに、好きと言って頂けることが多くて幸せな気持ちです。また、夜でいっぱいでた技術者たちに関しては、そこだけ抜粋して読んだ友人に『……いきいき、してるね(私の文章が)』と言われたくらい、純粋に趣味で書きました。楽しかったです。この本でどうしても絶対にやりたかったのは、サマンサさんを温かい場所で穏やかに眠らせてあげたかったことと、キースを立ち上がらせるきっかけをイワンくんにしないこと、それと、ラストシーンの花束です。花束については背表紙が、語らない所まで補完してくれました。受け止めたシスちゃんの左手の薬指に、リボンがかけられています。シスちゃんは確かに、キースさんの女神さまだったと思うんですよね。これからもきっと、そうなんだと思います。あと作中、虎徹さんの能力について。茨で書いていた所を、時系列的に前後する形となりましたが、きちっと書き切ることができて自分で安心しました。
夜→茨→次回新刊について
夜が作中でのできごと。茨が、その二年後。次回新刊が、そのさらに半年後の時の流れで書いています。それぞれの年齢についてもだから変動しているのですが、虎徹さん、どうも三十五歳だったらしいですね……(笑) 思わず『若っ!』と叫んでしまいました。思っていたより若くてびっくりです。イワンくんは十代という話を聞いたので、夜の初期に十九.途中で二十〜二十一、茨で二十三くらいのイメージで書いています。楓ちゃんは本編九歳だったので、茨だと十二歳。次回新刊の時間軸だと十三歳を想定しています。パオリンちゃんが本編で十三だったんでしたっけ……? うろ覚えなのですが、そうすると楓ちゃんよりそれなりに年上で、お姉さんポジションなのかな、と。カリーナちゃんはそろそろ卒業かな、という高校三年生のイメージです。二次創作的にそういう年齢、ということでゆるっと考えて頂ければ幸いです。ところでこの感じで言うとエドワードさん、二十四とか二十五くらいを考えているのですが、二十五の男と十三歳の少女ってとても犯罪くさいですね……(笑) 一番新しいお話で、紳士だのロリコンだの、エドワードさんアウトです、だの色々言われたエドワードさんがアウトになるのかセウトなのか、次回の本で書いて行きたいと思います。
ということなので、次回の本はエドワード&楓中心、パオリンちゃん主軸の事件解決ものが入った『散りゆく花よ、龍のように咲け』を発行予定です。5月4日初売りとなります。どうぞよろしくお願いします。