「……彼女は、最後に……なんて、言ってた」
「なんも」
「っ! そんな訳ないだろうっ! 教えてくれ!」
「や、だからなにも言い残さなかったっつってんだろーが。聞き分けろボケ」
「イギリス! ……アーサー、お願いだ。教えてくれ」
「……」
「……お願い、だから」
「……」
「……アーサー」
「なにも」
「……」
「聖女はなにも言い残さず、処刑台に消えた。火に、苦痛の声もなにもあげず」
「……っ」
「ただ、最後まで」
「……」
「最後まで、神の名を呼んでいた」
「……」
「……それだけだ」
「……」
「……」
「……」
「『フランシス』」
「……ん?」
「……」
「……」
「……なんでもない」
「アーサー?」
「……」
「……」
「なんでも、ないんだ」